楽曲解説「紅葉の滝へ」

音楽

初出:CROSS YOU – Part6:流れ者エンドロール(2022.10.9 第18回東方紅楼夢)

原曲:フォールオブフォール ~ 秋めく滝 / 幽夢 ~ Inanimate Dream


概要

アルバムの1曲目を飾る、伸び伸びと明るくカッコよくなボーカルアレンジ楽曲。

フォールオブフォールと幽夢を組み合わせたメロディラインをボーカルに据え、楽器は何も考えずにジャーンと鳴らすようなシンプルさで。

フォールオブフォールが犬走 椛の登場する風神録4面道中の曲なので、椛視点を意識した構成になっています。

タイトルも「秋めく滝なら周辺に紅葉もあるよね」とキャラの椛とも掛けたストレートなネーミング。

滝へ来たのは何者か。

歌詞の大まかな解説

前置き

歌詞は聞いた人それぞれの解釈があって、それだけに聞いてくれる人が増えるほどに厚みを増していくものだと思っています。

僕の解説もあくまで自分なりの解釈のひとつとして読んでください。

もっと良い解釈があれば平気で「あ~そうそう、それが言いたかった」って掌返しします。

本文

到来を告げる水飛沫を浴びて
どこまでも響く声を

降り注ぐまま撃ち合って

水面。滝壺。

落下した水が叩きつけられて弾けた水飛沫。

狼の声はよく響く。

幻想郷で撃ち合うのは、ねえ?

乾き始めている カラカラ
次第に延びていく夜 高くなる空 痛む首
実りはすぐに種を撒く準備をしている
眺めて繰り返し 相槌 退屈の誘惑

秋になって空気も乾燥してくる。

ARIAという漫画で夏の終わりを「空が高い」と表現していたのが気に入っています。

実りの秋とは言うけれど、植物側からしたら果実が成れば次は種子を蒔く段階です。

椛はその様を何年ぐらい繰り返し見ながら妖怪の山で哨戒任務をしてたのか。

名も知らぬ花をかき分けて
霧になる雫 飛び散っていく残骸
足音に気付く 言葉はもう用を為しはしない
進め 落ちていくその前に

滝の辺りに誰か侵入してきた。

白狼天狗に仕事が回る。

最短距離で現場へ。

到来を告げる水飛沫を浴びて
虹映える断崖を上るなら千里掻い潜って
東西を駆ける陽の光写せば
掠れた喉も潤してくれないか(紅の道を行く)
涸れ果てぬように

妖怪の山の滝を無断で無事に天辺まで上ろうと思えば、白狼天狗の千里眼を掻い潜れなければとてもとても。

侵入者がやたら強ければ援軍も沢山呼ばなければ。

削る 削る 長い時を越え
深く 深く 穿ちまた流れ出す
秋が満ちる 冷えていく感覚
何を象った
待ちわびたこの気配

川の流れは長い年月をかけて地形をも変えることがあります。

高低差があれば滝も出来るでしょう。

秋も深まり冷えてきた頃、現れた彼女は何の妖怪で何が目的なのか。

到来を告げる水飛沫を浴びて
霞み掛かる絶壁を上るなら万里矢を放って
東西を駆ける陽の光写せば
掠れた喉もまだ吠えられるかな(崩れる)
開く傘は道理を弾いていく(紅の道を行く)
枯れ果てぬように

妖怪の山の滝を無断で無事に天辺まで上ろうと思えば、矢のような速さや勢いでも無ければとてもとても。

彼女の傘は滝の水飛沫も弾幕もお構いなしに弾いてしまう。

枯れない花が咲いてるかのよう。

制作の裏話

この曲はアルバムの中でも最後の方にアレンジの構成が決まった記憶があります。

曲順も1曲目か最後のどちらにするかでかなり悩んだ末に1曲目に持ってきました。

結果的に力強さと明るさの出る始まり方になって良かったと思います。

ちなみに僕のCDは大体1曲目が激しい曲か明るい曲です。

CROSS YOUシリーズは必ず幽香テーマ曲のいずれかを入れるのですが、どれを入れるかはアレンジの途中で決めることが多いです。

基本的にメインは相手側の原曲。視点も相手側。

様々な角度から「風見幽香」がどんな風に見えるかを想像しながら作っています。

メロディ面では、フォールオブフォール原曲のどの部分をサビに持ってくるか、どの部分でサビを締めるかから決まってそこから肉付けしていった形です。

サビの締めに原曲のイントロ直後のメロディを持ってきたのはあれです。アニメとかのラスボス戦クライマックスで初期OPが流れるあの熱さ。曲の中であれを再現しているような感じ。

僕はこの手の演出が好きなので他の楽曲でも割と多用しています。

ギターはパワーコードでひたすら弦のスライド移動を繰り返していたので指先が大変なことになりました。普段から練習しておかないから……。

ボーカル面では「秋が満ちる」辺りのコーラスの入れ方がお気に入りポイント。

サビに向かってボルテージを上げていく構成として上手く機能してくれていると思います。

この前後のフレーズは楽器面でもリズム隊の動きが進んだり止まったりを繰り返してるみたいなテンポで好きですね。

水飛沫を浴びつつカラッとした空気感の1曲目。

アルバムが全体的に秋の雰囲気で纏まっていることを印象付けることには成功しているだろうか。

紅葉の滝へ

収録:CROSS YOU – Part6:流れ者エンドロール

2022.10.9 第18回東方紅楼夢にて頒布

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